豪華審査員の独占インタビュー HTML5 Japan Cup 2014 表彰式

今年4月から応募を開始した開発コンテスト「HTML5 Japan Cup 2014」の授賞作品表彰式「HTML5 Japan Cup 2014 The Final」が7月26日(土)サイバーエージェント社内で開催されました。

「HTML5 Japan Cup 2014」(以下、5jcup)は、日本最大のWeb技術者コミュニティ「html5j」が主催するクリエイティブ・コンテスト。モノ作り好きの心を刺激する豪華な賞が盛りだくさんのこのコンテストは、HTML5を名前に冠した、大規模なコンテストとして注目を集めました。

(C)HTML5 Japan Cup 2014, 撮影:佐藤聡

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▼日本のWebをたぎらせろ!「HTML5 Japan Cup 2014」とは?

html5jは、現在6,400名が登録する日本最大級のWeb技術者コミュニティ。通称「部活」と親しまれている関連コミュニティは14個あり(2014年5月時点)、とにかく最先端の技術をさわってみる「Web先端技術味見部」や業務系システム開発に従事するエンジニアが多く集まる「html5jエンタープライズ部」など、それぞれの目的に応じて日々勉強会やイベント活動を行っています。

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今回、初めてコンテストという形式のイベントに挑戦したのは先日コミュニティのリーダー卒業を発表した白石俊平氏。2代目リーダー兼審査員長を務めた吉川徹氏とともに、約3ヶ月間にわたる壮大なプロジェクトの最後を飾る日として、最優秀賞の発表・審査を兼ねた表彰式を迎えました。

▼html5jリーダー白石俊平の素顔に迫る!完全燃焼体験という信念

コンテストに協賛したスポンサーは40社以上。スポンサー各社が独自のテーマや審査基準を設け、複数テーマへの同時応募も可能だったため、応募作品数はなんと289作品!

この中から最優秀賞の100万円を獲得できるのはたった1作品。表彰式の当日に参加者からの投票で最優秀賞を決めるため、4作品が候補として残る形になりました。

最優秀賞候補の4作品は、動作確認や審査基準を満たしているかどうかを判断する1次審査をくぐりぬけ、HTML5 Japan Cup事務局によって選出された審査員による2次審査を受けます。
目玉ともなったのが各分野のプロフェッショナルや、Web業界における著名人を集結させた豪華な審査員陣。今回はお忙しい合間を縫って、当日参加してくださった7名の審査員の皆さまにインタビューを実施しました。

geechsマガジン独占!豪華審査員インタビュー

各審査員の皆さまにはこんな質問をしてみました。
1)5jcupの取り組みについてどう思いますか?
2)作品審査時の印象的だったエピソードは?

吉川 徹 氏 |HTML5 Japan Cup 審査委員長

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フリーランスのWebエンジニアとして活動中。 コミュニティ活動では、html5jにてHTML5の最新動向を追うとともにHTML5の普及促進に務める。 また、Google Developer Expert(Chrome)として、Chrome関連の情報発信も行なっている。HTML5 Experts.jpのエキスパートのひとり。著書に「jQuery Mobileパーフェクトガイド」と「HTML5ガイドブック増補改訂版」、「開発者のためのChromeガイドブック」がある。

1)5jcupの取り組みについてどう思いますか?

― 5jcupの企画が始まったのはだいたい1年くらい前。html5jではカンファレンスなどの大きいイベントを開催実績がありますが、参加する人たちが「実際にHTML5に触れる」という点では初めての試みでした。ふたを開けてみれば応募作品が289作品と多くの人にHTML5にチャレンジして頂いたという点でも大成功だったのではないかと思います。

2)作品審査時の印象的だったエピソードは?

― 今回はデバイス系のアプリも応募OKにしていたので、特定の端末がないとデバッグできない作品の審査はチェックする環境を用意するところに時間がかかってしまいました。あとはWebRTCがトレンドになっていることもあり、複数人で確認しないといけないといった状況もありましたね。

秋葉 秀樹 氏|株式会社ツクロア(tuqulore) 代表取締役・デザイナー

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アプリケーションデザインをメインに行う株式会社ツクロアCEO・デザイナー。 筑波大学非常勤講師、HTML5 Experts.jp、Firefox OS日本コミュニティーメンバー。 DTP・グラフィックデザイン・Webフロントエンド全般・Flashゲーム開発・3DCGと幅広い業務に携わる。 主な作品は海遊館やサンシャイン水族館とコラボしたAndroid/iPhoneアプリ「Ikesu」や、フジテレビ番組「ノイタミナ」のコンテンツを通じてアートディレクションなどを行いつつも、大手銀行のアプリデザインや、京セラ製スマートフォンのUIデザインなども行う。 近著に『Firefox OSアプリ開発ガイド』(リックテレコム)。 その他、共著として『10倍ラクするIllustrator仕事術』(技術評論社)や『すべての人に知っておいてほしい HTML5+CSS3の基本原則』(MdN)など多数。

1)5jcupの取り組みについてどう思いますか?

― ここまで大規模なWeb標準技術にフォーカスしたコンテストは今までに見たことがありません。 しかもIT企業以外の幅広い業種がこのコンテストに参加していた様子を見ていると、Webの技術はどの分野や業種にも必要不可欠な存在になってきているのだと感じました。

2)作品審査時の印象的だったエピソードは?

― 2次審査を通過した作品は20以上あったのですが、ただ単にアプリとして動くだけでなく、デザインにも気を配って開発していた作品が多かった印象でした。

羽田野 太巳 氏|株式会社ニューフォリア 取締役 最高技術責任者/有限会社futomi 代表取締役

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1993年 名古屋大学理学部数学科卒、日本電信電話(株)(NTT)入社。 1999年 NTTぷららに出向、インターネット接続サービスおよびサーバーのシステム運用、サービス企画に従事し、IPTVサービスの立ち上げに携わる。 2004年独立後、(有)futomiを設立し、ウェブ・システム開発の傍ら、ウェブコンサルティングも手がける。HTML5の気運が高まる以前からHTML5の探求を始め、HTML5専門サイト 「HTML5.JP」を立ち上げ、HTML5の普及啓蒙に関わり、HTML5関連書籍や雑誌記事執筆も行う。2011年 (株)ニューフォリア取締役(最高技術責任者)に就任し、ウェブベースのアプリケーション開発やデジタルサイネージシステムの研究開発の指揮を執る。

1)5jcupの取り組みについてどう思いますか?

― スポンサーとして集まった企業数の多さに驚きました。それだけ、多くの企業がWebの技術に注目していることの証だと思います。そして、5jcupに参加してくれたWebデザイナーやWebディベロッパーの多さにも大変驚きました。この業界がまさに今、さらなる発展に向けて進んでいるのだということを実感する取り組みだったと思います。

2)作品審査時の印象的だったエピソードは?

― 時間をかけて選び抜かれた一次審査後の作品ゆえに、優劣をつけるのが非常に難しい作品ばかりだったのが印象に残っています。ただし、見ただけでは使い方がよくわからない作品もあり、本当の実力をアピールできていないのではと感じるものも散見しました。一つのものを作るためには、プログラミング技術だけでなく、UX分野の重要性、そしてチームづくりといった技術力以外の要素もバランス良く取り入れることが必要です。

池澤 あやか 氏|女優

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1991年大分県生まれ。慶應義塾大学環境情報学部 卒業。2006年の第6回東宝シンデレラオーディションで審査員特別賞を受賞し、芸能活動を始める。映画、テレビ、ラジオ、CMなどで活躍する一方、Rubyが得意な「GEEK系アイドル」としてエンジニアの人気が急上昇し、「Rubyの女神」とも呼ばれる。現在、雑誌MacPeopleで「池澤あやかのギーク道」連載中。

1)5jcupの取り組みについてどう思いますか?

― Webブラウザで身近に体験できる作品がたくさんあったのがとても良かったです。Webがこれから盛り上がっていくためにも、Webに特化した取り組みがこれから増えていくといいなと思います。

2)作品審査時の印象的だったエピソードは?

― ハッカソンの審査員を務めた経験がありますが、今回はとにかく作品数の多さで審査に苦労した思い出があります。その中で大事にしていたのは女性ならではの視点です。プロに発注したイラストを使用しているなど、デザインに細かく気を配っていた作品は見る側にも強い印象を残したと思います。

Daniel Davis 氏|W3C/慶應義塾大学大学院 制作・メディア研究科 特任助教 開発常務取締役

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慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)でワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)の研究に従事。マーケティングやコミュニケーション、技術チームへのコンタクトなど幅広い役割をこなしている。東京でOpera SoftwareのWeb Evangelistとして働いた経験もあり、HTML5のサンプルや記事執筆、関連イベントやメディア取材でOpera代表として活動。

※本記事を W3C®(The World Wide Web Consortium)のホームページにも転載していただきました!ありがとうございます。

1)5jcupの取り組みについてどう思いますか?

― ITではない企業が独自にテーマを設け、素材や技術を公開していたところが印象的でした。Web業界はオープンソースの文化が根付いていますが、伝統的な企業において自社が持つリソースを一般に公開して使えるようにするというのは大きなチャレンジだと思いますし、こういった意外なコラボの実現は、HTML5という技術の可能性を大きく広げてくれるでしょう。

2)作品審査時の印象的だったエピソードは?

― ソースコードを見て「こんな使い方があるのか!」と驚いた作品がいくつかありました。私はW3Cという団体で標準化を推し進めている立場なので、アクセシビリティを念頭に置いて審査しました。大切なのは開発しはじめる時点でデータ属性を意識して、Polyfillや専用ライブラリを取り入れることです。一方でページが重くなってしまうという懸念もありますし、機能を追加できないから開発を妥協するというのも良くありませんがね(笑)

藤村 厚夫 氏|スマートニュース株式会社 執行役員 事業開発担当

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1978年法政大学経済学部卒業。株式会社アスキーで月刊誌編集長、ロータス株式会社(現日本アイ・ビー・エム株式会社)でマーケティング責任者を経て、株式会社アットマーク・アイティを起業。その後、アイティメディア株式会社代表取締役会長。現在はスマートニュース株式会社にて事業開発を担当。デジタルメディアの将来像設計を主題に活動中。

1)5jcupの取り組みについてどう思いますか?

― 弊社の「Smartnews」はネイティブアプリでないとできない実装に取り組んでたプロダクトです。今回のコンテストで優秀な作品候補の大半を占めるブラウザベースのプロダクトを見ていると、これをネイティブで実現することはできるのかどうかといった視点が持てるようになります。どっちがいいという是非問題ではなく、日本のエンジニアリングの水準を上げていくためにはネイティブとブラウザ双方のテクノロジーが発展していくべきだと考えています。

2)作品審査時の印象的だったエピソードは?

― コンテンツのアイディアそのものが斬新ではなくとも、BGMへのこだわりや、オンライン上でユーザー同士がコミュニケーションを取れる作品が良かったと思います。審査時に感じたのは、HTML5という技術の課題でもありますが、デバイスごとに動作が異なってしまったり、ブラウザの実装がちがったりという差分です。しかしその差分をトライ&エラーでいかに改良していくかが、良いアプリ開発に必要な実践的な鍵になってくると思います。

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表彰式では、各テーマ賞の表彰書授与と各社からの目録贈呈があり、最後には100万円を手にする最優秀賞候補4作品の5分間プレゼンテーションを開催。
プレゼンテーション後には審査員を含む、参加者全員が10円玉で各作品に投票!その場で最優秀賞が決まるという臨場感あふれる演出に会場の皆さんもドキドキ。

289作品から厳しい審査を乗り越え、さらに精鋭な優勝候補4つから栄えある最優秀賞に選ばれたのは……

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T O K Y O !

2020年のオリンピック開催地が東京に決定した “あの” 有名なシーンを再現するという渾身のギャグを披露する吉川氏。私は笑いのツボが浅いのでお腹が痛くなるほど笑わせていただきました。
▼元ネタがわからない方、“あの瞬間”をもう一度見たいという方はこちらをご参照ください。

吉川氏、捨て身のギャグにより肩の力がほどよく抜けたところで、改めて最優秀賞に選ばれたのは………

コトバツナギ|foka (@foka22ok)さん

【 作品説明 】
声に出して声で遊ぶ、マルチユーザーコトバアソビ。 みんなでワイワイ集まって、シリトリしたり、レンソウしたり。大き目の画面のPCを一台用意して、androidスマートフォンやノートパソコンを持って集まろう。WebRTCと音声解析をメインにしたコンテンツです。

▼作品を見るにはこちらから!

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音声認識でしりとりをするのですが、そのデモンストレーションでご本人が発した第一声が「セブンイレブン」(※しりとりで言葉をつないでいくため “ん” が付くとゲームが終了します)というまるでコント?!のような発表を披露して、会場を湧かせていたのが印象的でした。

惜しくも最優秀賞には選ばれませんでしたが、表彰式終了後も注目を集めていた優秀作品の3つがこちら。

Enraged Fowls|あんどうやすし(@technohippy)さん

【 作品説明 】
緑の豚に悪さをされた赤い鳥が怒ってスリングショットで砦に攻めこむというどこかで聞いたようなゲームです。スペシャルコントローラーにスマホをセットすれば実際のスリングショットのようにPCの前でコントローラーを動かして狙い、ゴムを引いて打つこともできます。Three.js(WebGLライブラリ)とCannon.js(物理エンジン)を組み合わせて例のゲームを3Dにしてみました。

▼Enraged Fowlsを見るにはこちらから!

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YouTubeそっくりなWebGLプレーヤー|jThree合同会社 (@jThree_jp)さん

【 作品説明 】
サイトにずらっと並ぶYouTube。再生してみるとなんと…カメラのアングルを動かせる!WebGLとは思えないようなUIにHTML5の機能をぎっしり詰め込んだプレーヤーです。jQueryの記法で作るWebGLライブラリ『jThree』のプラグインを使用しました。最小限のコーディングで思い通りのWebGLコンテンツを公開できる。サイトのデモ1つあたりのコーディング量はたったの3KBで、Oculus Riftモードやカメラコントロールは設定不要の標準搭載です。

▼YouTubeそっくりなWebGLプレーヤーを見るにはこちらから!

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JS Racing|株式会社アイエムジェイTSUKURITEさん(@knockknockjp)さん

【 作品説明 】
WebGLとWebSocketを使用したオンラインレースゲームです。複数人で同時走行可能で、現在走行中の車が常に確認できます。またPCから発行されたURLでスマートフォンでも車の操作が可能です。クライアント技術として主にTypeScript利用しています。サーバサイド技術としては、Node.js(Socket.IO、Express、Jade)を利用しています。その他HTML5関連の技術としてはSVG、Canvas、WebFont、CSS3を活用しています。

▼JS Racingを見るにはこちらから!

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最優秀賞、優秀賞以外にも素晴らしい作品ばかりでしたが、こちらでは紹介しきれないため詳細は5jcupの公式ブログをご覧ください!
▼HTML5 Japan Cup 2014 運営事務局 公式ブログはこちら

華やかな表彰式の終了後は、懇親会!今日のためだけに特別に作られたスイーツも登場し、大盛り上がりでした。

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美味しそうに特製カップケーキをほおばる姿に和みます。

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この日に参加できなかった方への感謝の気持ちを込めて、スタッフの方が徹夜で作りあげたエンドロールが流れ、5jcupは幕を閉じました。

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エンジニアのための無料イベントスペース「21cafe」では、5jcupハッカソンやhtmldayの会場提供をしていたこともあり、エンドロールにはSpecial Thanksで登場しています!
▼スタッフさん渾身のエンドロールはこちら

最後は受賞者、審査員、参加者、スタッフ全員で集合写真!
企業や個人という垣根を超えて、Webに関わる人たちが気楽に交われる機会を作るべく「つながる、学べる、盛り上がる」活動指針を掲げたhtml5jだからこそ開催できたコンテストでした。

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