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ZOZOTOWNといえば、夏・冬のSALE時には必ずといっていいほどアクセスする日本最大級のファッションECサイト。商品取扱高1146億円、会員数600万人以上の巨大サービスの仕組みがどうなっているのかは、今まで一度も公にされてきませんでした。ECサイトやファッションSNSなどのWebサービス提供するスタートアップも増えてきているなか、10年前に始まった元祖・アパレルECサイト「ZOZOTOWN」はいかにして会員数600万人以上の巨大サービスへと進化を遂げてきたのか?

今回はgeechsマガジンが9月3日(水)に株式会社スタートトゥデイと開催した「ZOZOTOWNを支える技術と開発体制」イベントレポートをお届けします。

企業と個人がつながる技術イベント “TECH VALLEY”


近年、ハッカソンや技術セミナーなど開催する企業が増えているように、技術の情報やアイデアを社外にも求める動きが顕著になってきています。そんな世の中の流れを受け、このたび始めたのが「企業」と「個人」がつながるイベントTECH VALLEYです。

TECH VALLEYの記念すべき第1回目のゲストにお迎えしたのは、株式会社スタートトゥデイ取締役の大蔵峰樹さま。創業当初からシステム内製化に取り組んでいる同社が、どのように日本最大級のファッションECサイトを創り上げるに至ったのか。これまで公にされてこなかった「ZOZOTOWN」のシステム設計から開発、物流までの一環した体制についてたっぷりお話いただきました。

「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」株式会社スタートトゥデイ

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1998年5月設立。会員数600万人以上、商品取扱高1146億円の日本最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」や、アウトレット専門サイト「ZOZOOUTLET」のモール事業から、ヒト・コト・モノに特化した情報発信サイト「ZOZOPEOPLE」、全国のショップ検索が可能な「ZOZONAVI」。

また2013年10月にはファッションコーディネートサービス「WEAR」の運営を開始。サービスリリース後、1年足らずで香港、韓国、台湾の海外3箇所で展開し、2014年7月末時点では300万ダウンロードを達成するなど、時代のニーズに合わせたWebサイトを多様に展開している。

大蔵峰樹 氏|株式会社スタートトゥデイ

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株式会社スタートトゥデイ取締役。1976年生まれ。国立福井工業専門学校卒業後、福井大学工学部を経て福井大学大学院在学中の2000年5月に有限会社シャフトを設立し、代表取締役に就任。2005年4月に株式会社スタートトゥデイ入社。2010年フルフィルメント本部長、2011年取締役就任、2012年創造開発本部長を兼任しサービスの基盤であるシステムを管掌し、現在に至る。

勉強会を開催するにあたって「もう二度とこういう機会を設けることはないかもしれない」と語っていた大蔵さん。今でこそ大手企業によるEC事業の参入や、BASEのような個人でも簡単にECサイトを運営できるプラットフォームサービスが増えたが、10年前はまだカタログ通販の延長線上という印象が強くあったEC事業。長年EC事業を手掛けている同社だからこそかもしれませんが「スタートトゥデイは小売・物流業界である」という認識のほうが社内でも強く、求人媒体以外でエンジニアに向けた技術の話をする機会はなかったそうです。

今回のイベントレポートでは、終了後のアンケートで反響が大きかったZOZOTOWNの膨大なトラフィック数を支える開発体制と、採用・人財育成についてお伝えします。

本邦初公開!ZOZOTOWNを支える技術と開発体制

F5アタックとの果てなき戦い

大蔵氏「在庫データは1レコードに1SKU(Stock Keeping Unit、一緒に販売される1つあるいは2つ以上の商品を表す在庫管理単位を指す)が基本です。例えば白いTシャツのSサイズが5枚あったら、それは1SKUとカウントされます。そうなるとユーザーが注文するときその1レコードに集中してアクセスがきます。あるユーザーが更新しているレコードに、他のユーザーがアクセスできないようにする「レコードロック」という状態が起きるわけです。以前この状態で、1レコードに対して3000人がF5アタックをしていたという状況がありました。(苦笑)」


「Webサーバ以外は冗長構成とし、一部の設備が故障してもサービスを継続して提供できるようにシステムを構築しています。ただWebサーバに関しては数百台あるので、1つ1つ冗長化していたら配線は混乱するしコストも上がってしまうので、Webサーバは死んだらあきらめます。使い捨てというわけではなく、その場で直すのはあきらめて次の日に対応します。そのためPCアーキテクチャベースで安価なサーバで構築していますが、コスト面はまだまだ気になる部分が多いのが現状ですね。」

SALE時の凄まじいアクセス数

「アクセスが集中するのは、デイリーでいうと21~24時。年間はやはり夏・冬のSALE時です。通常の3~4倍のアクセスが1~2時間で一気にやってきます。今年の年明けは…障害が起きてご迷惑をおかけした方もいたかと思います。この場を借りてお詫び申し上げます…。10年前から変わらずにあるのがこのアクセス集中との戦い。図で見るとこのような形です。」


「まず用意している回線→ネットワーク→サーバ→データベースの順番で処理上限を超えていきます。処理能力を超えそうになったら1つ1つ対策していくという、地道な作業の繰り返しです。1つ対策してはふりだしに戻る。これにつきます。余談ですが、ZOZOTOWNがオープンした初日に5分、10分たっても一向にサーバの負荷が上がらなくておかしいなと思ったら、ルーターの処理がパンクしていたという事件なんかもありました。(苦笑)」

「こういう経験を重ねてきているので、第一関門である回線が上限いっぱいになるというのは今ではあまり起きません。ただSALE期間に生じる更新処理は、何度見てもすさまじいですね。カートに入っているテーブル数は1つ見るだけでもお腹いっぱいになります。「これいまDB死んだらどうなるんだろう?」という恐怖と戦いながら頑張っていますよ。」

2人のエンジニアでZOZOTOWNは始まった

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大蔵氏「今回のテーマがZOZOTOWNを支える技術と開発体制ということなので、開発部門の話をしていきますね。私が入社した当時、ZOZOTOWNのサイト開発チームはエンジニア2人、デザイナー2人のたった4名。現在では、バックエンドなどのシステムを見るフルフィルメント本部、フロントエンドやECシステム周りを担当する創業開発本部、そして昨年リリースしたファッションコーディネートアプリ「WEAR」、3つのチームに分かれていて全部で40名程います。」

「6年前位ですかね。まだ開発メンバーが10名程だったころ、人を増やしたくて採用コストを従来より多くしたことがありました。主に求人媒体やメディアへの露出です。しかし一向に人は集まらない。そこで別の部門で働く若手社員をエンジニアに育てるという手法に思い切って切り替えたのです。そこから次第に人が増えて、いまの40人体制が出来上がりました。つまり、40名いる内の半数はエンジニア経験3~6年目ということになります。」

一番のファンは社員!カルチャー重視な人財育成

「じゃあ中途採用はやらないの?という意見もあるかもしれませんが、もちろん良い人がいれば一緒に働いていただきたいです。ただ、近年スタートトゥデイの採用の門を叩いてくる方はざっくり2パターンに分かれます。1つが昔から当社のサービスや社名を知っていてファンだったという方、2つ目が当社で働くことをキャリアの通過点として経験したいという方。」

「しかし、前者の方のほうが洋服が好きで会社が好きなので長く働いてくれますよね。そうなると先ほど申し上げたように、エンジニアリングは未経験。これから開発部門が成長していくためには、周りを圧倒するような技術力のある人財がいた方が良いのかもしれせんが、いまは会社のファンである人をじっくり地道に、自社のエンジニアとして育てていくことを重要視しています。知識や技術力は少ないかもしれませんが、スタートトゥデイというブランドが好きなことのほうが当社のカルチャーには合っていますから。」

社員も交流!TECH VALLEY懇親会

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イベント終了後は懇親会!「企業と個人がつながる」がコンセプトのTECH VALLEYでは、登壇者以外にも企業の社員の方を招いて参加者の方と積極的に交流を深めることができます。
懇親会では、質疑応答の時間でしきれなかった質問を登壇者にしたり、会社の様子を社員の方に聞いたりと終始にぎやかに皆さんがお話されていたのが印象的でした!

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真剣なまなざしで参加者の質問に答える大蔵さん。

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参加してくださったスタートトゥデイ社員のお二人。

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最後は集合写真を撮ってTECH VALLEY #1 は終了。
ご協力いただいたアンケートでは8割以上の方が「満足した」と回答がありました。

TECH VALLEY 参加者の声
・アットホームな社風が開発体制やシステムの仕組みからも伝わった
・普段使っているサイトの裏側が聞ける滅多にないプレミアムな会だった
・CTOや開発リーダーなどの話が聞けるイベントを定期的に設けてほしい

geechsマガジンではこれからも定期的に、企業と個人がつながるイベントTECH VALLEYを開催してまいります。イベント情報をいち早く知りたい!こんなイベントを開催してほしい!という方はgeechsマガジンの読者登録を忘れずに行ってくださいね♪


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