税理士に聞こう!フリーランスになるITエンジニア・Webデザイナーが知っておくべき手続き【第1回】

フリーランスの働き方に興味があっても、「手続きなどが不安でなかなか挑戦できない」という方はいるのではないでしょうか?そんなときは専門家に聞くのが一番!

このシリーズでは全5回の連載にわたり、税理士の木村先生が独立にまつわる手続きについて、主に税務関連の分野から解説。会社に勤務しているITエンジニア・Webデザイナー向けがフリーランスになり自分で事業を営む決意をした場合、さらには会社を設立して経営者となった場合に、どのような公的手続きが必要になってくるのかを、専門家の視点からご説明します。今回は、税金の基本の考え方における正社員とフリーランスの違いを解説します。

正社員ITエンジニア・Webデザイナーの場合

■ 会社員としての税金等の手続き

会社に勤務していると、税金関係の事務を自分で行うことは、ほとんどなかったのではないでしょうか。これは、会社が個々人にかわり納税をしていることを意味します。つまり、毎月の給与から源泉徴収という方式で天引きして、給与計算を行い支払う形態で行っています。

給与から天引きされるものは、税金だけではありません。健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料なども含みます。また、天引きされた税金の内訳は、所得税のほか市区町村民税などの地方税です。

税金は毎月計算されますが、更に年に一度、年末で締め切って再計算されます。その際に、生命保険料控除、社会保険料控除、扶養控除などの所得控除額を勘案して年間の税額を計算し直します。その年間を通じた精算税額が、給与から毎月控除してきた所得税額の合計額より大きければ、その不足額を足して給与から天引きされます。逆に少なければ、過大となった金額を戻すことになります。

この実施日は会社により異なり、12月に実施する会社もあれば、1月以降に実施する会社もあります。

■ 何を基準にして計算されるか

毎月天引きされる様々な控除額は、毎月の給与総額を基準に計算されます。給与総額とは、つまり諸控除金額が差し引かれる前の給与額です。この給与総額から、所得税、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料の控除額が計算されるのです。

ところが市民税はそうではありません。市民税は、前年に確定した所得金額を基礎に計算され、それを月間に均等に分けた金額を、今年度の給与から控除しています。したがって、市民税の税額は、給与が上がったとしても、上がりません。もちろん給与が下がっても、下がることもないのです。その金額は、前年度の所得金額をベースにして算出されているからです。

■ 納税義務者は誰か

これらの税金・保険料等の支払いは全て、勤務先の会社が給与から天引きして個人に代わって納付しています。それは、個人を雇っている会社側に徴収義務と納税義務を課せられているからです。したがって、個人の源泉所得税を納税していなかった責任は、会社側にあり、個人にはありません。個人は、それらの納付を会社に委託している立場にあります。

フリーランスITエンジニア・Webデザイナーの場合

■ 誰が税金を計算するのか

 会社に勤務しながらITエンジニア・Webデザイナーのお仕事をしているときは、会社の中で自分の職務範囲において能力を発揮していれば、十分でした。しかし、フリーランスとして会社から独立してご自分で営まれるようになると、担当とするお仕事のほかに、自ら税金を計算して納付する事務をやり遂げなければなりません。

税金は、年に一度、自ら計算・申告して、納付する仕組みになっています。しかし、納付する金額をまとめて一度に計算することはできません。まずは帳簿を作成し、日々収入や費用などの記録をまとめておかなければなりません。

■ 申告納税方式と賦課課税方式

これを申告納税方式といいます。税金を計算し納付する仕組みは、大きく分けて2つの方式があります。1つは先に述べた申告納税方式で、もう一つは賦課課税方式です。

賦課課税方式は、国や県そして市から税額の通知を受けて納める税金です。たとえば「あなたのお仕事を就業してから何年目ですと税金は××円になります」と一方的に通知を受けて納付する形式です。昔は、このような方式を採った時期もありましたが、現在では所得に対しては行っておりません。

現在、賦課課税方式が実施されている代表例は、自動車税、固定資産税です。所得に対する税金は、申告納税方式を基本としております。

申告納税方式の場合、ご自身のお仕事の1年間の収入と費用をそれぞれまとめ、差し引きの所得を算出しなければなりません。そのためには日頃の帳簿付けが必要になってきます。

“日頃”と言っても、毎日行うか、月にまとめて行うか等々は、個人の自由です。この過程を専門家に任せることも自由です。基本的に帳簿は「いつ、誰に、何の用途で、いくら支出した又は収入があった。」という内容で記載します。帳簿には売上帳、経費帳などがありますが、最終的には勘定科目ごとの日付、目的、金額で整理していくことになります。

次回は帳簿と確定申告について

今回は正社員とフリーランスの納税方法の差について解説しました。フリーランスになると、会社員時代には知らず知らずに行われていた事務を、自分で行う必要があります。そのため、今まで知らなかった税務に関する用語や知識を理解する必要があります。しかし、その知識を身につけることで、節税などのメリットなどもあります。

次回は、より詳細に帳簿の付け方について解説します。加えて、確定申告時の工夫によるメリットも説明。聞きなじみのないワードも出てきますが、フリーランスを目指すITエンジニアやWebデザイナーなら知っておいて損のない内容です。次回もお楽しみに。

この記事を書いた人

税理士 木村一夫

昭和26年6月東京都中野区生まれ。筑波大学大学院博士前期課程修了、東京国税局に採用。資産税・法人税の調査に従事。平成元年12月に税理士試験に合格し、税理士としての活動を開始。「法人税・消費税修正申告の実務」(ぎょうせい)「組織再編成の税務・会計・法律」(中央経済社)など数多くの著書を出版。

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