税理士に聞こう!フリーランスになるITエンジニア・Webデザイナーが知っておくべき手続き【第2回】

フリーランスの働き方に興味があっても、「手続きなどが不安でなかなか挑戦できない」という方はいるのではないでしょうか?そんなときは専門家に聞くのが一番!

このシリーズでは全5回の連載にわたり、税理士の木村先生が独立にまつわる手続きについて、主に税務関連の分野から解説。会社に勤務しているITエンジニア・Webデザイナー向けがフリーランスになり自分で事業を営む決意をした場合、さらには会社を設立して経営者となった場合に、どのような公的手続きが必要になってくるのかを、専門家の視点からご説明します。

第一回目は、税金の基本の考え方における正社員とフリーランスの違いを紹介しました。
今回は、納税の際に必要となる帳簿について、また帳簿の付け方による確定申告時の違いについて解説します。

帳簿とは

前回、帳簿は「何月何日に、誰に、何のために、いくら支出した又は収入があった。」という内容が記載されたものだと開設しました。そして、いくつか種類があるともお話しました。

現金の収支や預金の収支の記帳を行っていく帳簿は、現金出納帳、預金出納帳です。しかし、これだけだけでは、所得金額を計算することはできません。現金および預金の収支の原因となる売上、各種費用をまとめるためには、それぞれ勘定科目ごとの帳簿を作成しなければなりません。つまり、正確に所得金額を計算するには、売上の明細を記録するための売上帳、費用などの明細を記録するための仕入帳が別途必要になるのです。
この収支にしたがって、帳簿付を行う方式を単式簿記とも言います。

帳簿の付け方には単式簿記と複式簿記がある

帳簿の付け方には単式簿記と複式簿記があり、それによって申告方法が異なります。確定申告の際65万円の特別控除が受けられる青色申告は、複式簿記による帳簿でないと届出ができません。

複式簿記は、取引の全てを借方、貸方に分けて記帳してゆく方式で、記帳した科目を、資産科目・負債科目、収益科目、費用科目に分離します。そして、それぞれの科目を損益項目だけでまとめれば、差額が当期純利益になり、貸借項目だけをまとめれば、差額が資本金額または元入金額となります。

しかし、この記帳方式は簿記を習得された方でないとなかなか理解が難しいでしょう。そのため、「税理士や会計士といった専門家に任せる」という方が多くいらっしゃいます。

この記事でも、複式簿記の借方、貸方の概念や科目の仕分け方法については割愛し、次から複式簿記で帳簿することのメリットを紹介していきます。

複式帳簿なら青色申告特別控除が受けられる

納税の申告書を受け付ける税務署では、その帳簿付けの程度に応じて、税金計算上の特典を与えています。それが青色申告特別控除です。青色申告特別控除額は出費がなくても所得税計算などで控除してもらえる特典のことです。

その特典は、青色申告の申請を受理された方に限定されますが、複式簿記でまとめられた方には、青色申告特別控除額として65万円を所得金額から控除して計算することができます。また、複式簿記はおこなっていなくても、貸借対照表まで作成できていれば65万円を控除できます。貸借対照表は、損益計算の裏付けとして現金や預金、未収金や未払金などの貸借科目がどうなったのかを整理した計算表です。

貸借対照表の記載まではできていなくても帳簿付けから所得金額を計算したものであれば、10万円を限度に青色申告特別控除をうけることができます。これらは青色申告の届出があった場合に受けられる特典で、届出をしなければ控除額がなく、計算した所得金額に直接税率を乗じて税額を計算することになります。

青色申告とは

話は前後しますが、そもそも青色申告とは何なのでしょうか。青色申告とは、確定申告のひとつであり、青色申告承認申請書を届け出て申告することをいいます。青色申告承認申請書とは、一定の帳簿書類を備え、所定の事項を記録するシステムを揃えるという届出書です。この届出書の提出を行えば、税務計算の上で、特典が受けられるという制度です。

その特典としては、先に述べたような「青色申告特別控除」が代表的ですが、青色事業専従者給与の必要経費算入や、純損失の繰越し繰戻しなどの特典が受けられます。

青色申告届出期限

青色申告の概要は理解していただけたでしょうか?ただし、これだけで確定申告できるとは限りません。特に注意していただきたいのが青色申告の届出には「期限」があるということです。

開業して2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。この時期に間に合わない場合には、適用したい年度の3月15日までに提出することになります。たとえば、平成30年度の申告期限は平成30年3月15日となります。この時期までに届出書を提出すれば、平成30年度の申告で青色申告は受けられることになります。しかし、平成29年度の申告では青色申告は受けられません。

次回は「青色申告特別控除」以外の青色申告の特典について

今回は、単式帳簿と複式帳簿の帳簿の付け方と、それによる納税申告の仕方の違いについて解説しました。納税申告のための会計知識は単純ではなく、控除を受けようとすると、更に複雑な知識が必要になります。フリーランスは会計などの処理も自分で管理しなければならないため最低限の学習はすべきですが、専門性の高い業務については税理士や会計士の力を借りることも検討するとよいでしょう。

次回は、「青色申告特別控除」以外の青色申告の特典について紹介していきます。65万円の青色申告特別控除はよく知られていますが、実は他にもメリットがあります。次回の更新もお楽しみに。

この記事を書いた人

税理士 木村一夫

昭和26年6月東京都中野区生まれ。筑波大学大学院博士前期課程修了、東京国税局に採用。資産税・法人税の調査に従事。平成元年12月に税理士試験に合格し、税理士としての活動を開始。「法人税・消費税修正申告の実務」(ぎょうせい)「組織再編成の税務・会計・法律」(中央経済社)など数多くの著書を出版。

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