税理士に聞こう!フリーランスになるITエンジニア・Webデザイナーが知っておくべき手続き【第3回】

フリーランスの働き方に興味があっても、「手続きなどが不安でなかなか挑戦できない」という方はいるのではないでしょうか?そんなときは専門家に聞くのが一番!

このシリーズでは全5回の連載にわたり、税理士の木村先生が独立にまつわる手続きについて、主に税務関連の分野から解説。会社に勤務しているITエンジニア・Webデザイナー向けがフリーランスになり自分で事業を営む決意をした場合、さらには会社を設立して経営者となった場合に、どのような公的手続きが必要になってくるのかを、専門家の視点からご説明します。

第3回目となる今回は、前回の記事で紹介した「青色申告」について、特別控除以外の特典やそれに付随して理解しておくべき概念について解説していきます。

【第1回】税金の基本の考え方における正社員とフリーランスの違い
【第2回】納税の際に必要となる帳簿・帳簿の付け方による確定申告時の違い

純損失の繰越し

青色申告の特典うち、青色申告特別控除については、前回述べましたが、次に「純損失の繰越し」について説明します。

通常、所得計算はその年度の計算結果がプラスで、ほかに諸控除金額がなければ、それに税率を乗じた金額の税金が発生することになります。しかし、計算結果がマイナスであれば税金は生じません。

「純損失の繰越し」ができるというのは、一年の所得計算がマイナスだと税金が発生しないだけでなく、その損失額を翌年以降3年間に渡って繰越しして、所得金額から控除することができるというものです。

事業を開始した年度はどうしても損失が発生してしまうというケースが多いのではないかと思われます。その損失額を、次年度に繰り越して控除できれば、事業者にとって助かる制度です。

しかし、青色申告の提出期限までに届け出が出ていなければ、その年度はどんなに損失が生じていても、損失を繰り越すことはできません。これは後々の経営に影響を及ぼしてきます。

純損失の繰戻し

次に「純損失の繰戻し」制度について説明します。前年度に所得が生じて税金を支払ってはいるが、当年度においては損失が発生したという場合に、前年度に支払った税金の一部を戻してもらうという制度です。

税金を戻すことを「還付」といっておりますが、税金の還付を受けるためには、税務署の確認手続きが必要となり、単に申告し、還付の届出書を提出しただけでは容易には還付されないこともあります。

青色事業専従者給与の必要経費算入

次に「青色事業専従者給与の必要経費算入」について説明いたします。所得税法では、生計を一にする親族、つまり、妻や子供に対して給与として支払っても、必要経費としては認めてくれないのが原則です。

この原則は、所得税法56条に定められている基本です。「実際に仕事をしたのだから、給与として支払ったものは経費になるのは当然でしょう」と一般には考えられますが、そうではないのです。

しかしながら、例外がありまして、妻又は夫の仕事に対して支払うものであれば、年額86万円の範囲であれば必要経費として認められるというものです。子供の仕事に対して支払うものであれば、年額50万円の範囲ということになります。これを「事業専従者控除」といい、所得税法57条3項に定めてあります。

更に細かいことに言及すると、これには上限額があり、不動産所得または事業所得の金額÷(事業専従者の数+1)で算出された金額の範囲内が、事業専従者控除の金額になります。たとえば、事業所得が50万円として妻が店を手伝っていた場合には、50万円÷2=25万円が必要経費とされる上限額になってしまいます。

ところが、青色申告がであれば、青色事業専従者給与に関する届出書に記載した方法に従って給与の支給をしたのであれば、必要経費として認めてもらえます。ただし、その労務に従事した期間、労務の性質および程度などからみて相当であると認められる金額の範囲内という要件が課せられております。

その他の青色申告の特典

他にも青色申告を行うことによる所得税法の特典はあります。 現在65点があります。かなり細かい特例になり、業種や規模によっては、ほとんど無縁のものもあります。そのなかで比較的使われると思われる特例だけを次に掲げてみます。

 少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入
 小規模事業者の収入・費用の帰属時期の特例
 機械等を取得した場合の特別償却
 機械等を取得した場合の所得税額の特別控除
 雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除
 雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除

所得税の申告期限と納付期限

これらの所得税は、12月31日までの年間で所得金額をまとめて、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告書を提出して、納付しなければなりません。

■ 個人事業から会社を設立した場合

個人事業であれば、所得金額をまとめる期間は、1月1日から12月31日までの間です。そして、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告書を提出します。

しかし、会社であれば、計算期間は会社が自由に決めることができます。つまり、決算時期を6月30日にしようが、3月31日にしようが、業務上都合のよい日を決めることができます。

次は「会社設立」について

今回は「青色申告」の特別控除以外の特典について色々とご紹介しました。青色申告は白色申告に比べ、難易度が上がってしますが、その分のメリットは十分にありそうですね。

次回は、個人事業から会社設立を検討している人は必見の内容です。会社設立をすると、もちろん納税手続きも変わってきます。次回もお楽しみに。

この記事を書いた人

税理士 木村一夫

昭和26年6月東京都中野区生まれ。筑波大学大学院博士前期課程修了、東京国税局に採用。資産税・法人税の調査に従事。平成元年12月に税理士試験に合格し、税理士としての活動を開始。「法人税・消費税修正申告の実務」(ぎょうせい)「組織再編成の税務・会計・法律」(中央経済社)など数多くの著書を出版。

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