税理士に聞こう!フリーランスになるITエンジニア・Webデザイナーが知っておくべき手続き【第4回】

フリーランスの働き方に興味があっても、「手続きなどが不安でなかなか挑戦できない」という方はいるのではないでしょうか?そんなときは専門家に聞くのが一番!

このシリーズでは全5回の連載にわたり、税理士の木村先生が独立にまつわる手続きについて、主に税務関連の分野から解説。会社に勤務しているITエンジニア・Webデザイナー向けがフリーランスになり自分で事業を営む決意をした場合、さらには会社を設立して経営者となった場合に、どのような公的手続きが必要になってくるのかを、専門家の視点からご説明します。
第4回目の今回は、「個人事業から会社を設立した場合に必要な手続き」について解説します。会社の形態やそれぞれに必要な手続きなども異なるので、自分のビジネススタイルを決めるためにも参考にしてみてはいかがでしょうか?

【第1回】税金の基本の考え方における正社員とフリーランスの違い
【第2回】納税の際に必要となる帳簿・帳簿の付け方による確定申告時の違い
【第3回】青色申告の特別控除以外の特典、付随して理解しておくべき概念

会社の種類

まずは振り出しに戻って、会社の設立から考えてみましょう。

会社には5つの形態があります。株式会社、有限会社、合同会社、合名会社そして合資会社です。この中の有限会社は、現在では新たに設立することはできません。会社法が平成17年に成立した同時に有限会社法は廃止されたためです。ただし、その際に存在した有限会社は、そのまま継続することも容認されました。それらは、現在「特例有限会社」と呼ばれ、実質は株式会社と同様に取り扱われております。したがって以下では、有限会社も株式会社として話を進めていきます。

それぞれの会社の出資者の責任形態を分類すると、合名会社は出資者が無限に責任を負う会社で、合資会社は誰か無限責任社員をおけば他の社員は有限責任社員でも構いません。株式会社と合名会社は、出資金額の範囲でしか責任を負わない有限責任社員で構成されています。

会社設立時の資本金

次は会社設立時に必要な資本金についてです。

旧法では、会社を設立する場合に必要な出資金額は、会社ごとに最低金額が設けられていました。しかし、会社法が制定されてからはこの制限はなくなっています。ただし、設立には登録免許税の納付から様々の支出があり、出資金が1円だと銀行や様々な登録を行うにあたって、信用上の問題から設立後の運営に支障をきたすので注意しましょう。

特に、会社設立したての場合、外部から見ると資本金の額がそのまま会社の信用や規模を表す指標になるのです。

定款の認証やかかる費用

定款とは、会社の設立手続き上、必ず作成しなければならない書類の一つです。株式会社の場合は設立時に定款の認証が必要ですが、他の合同会社や合資会社、合名会社はその必要がありません。「定款認証」とは、会社の取決めを行った定款を公証人に認証してもらって、初めて有効な定款とみなされる手続きです。

この定款認証が必要とされる株式会社は、設立時の最低限の費用も他の会社と比較して高くなってしまいます。定款認証の公証人手数料は約5万円とされています。また、設立登記の際の登録免許税は、合同会社、合名会社、合資会社で6万円ですが、株式会社では15万円かかります。

登録免許税は、資本金の額の1000分の7で計算されますが、最低限度の上記の金額は納付しなければなりません。また、定款を紙で作成した場合には、4万円の収入印紙を貼付する必要がありますが、電子定款の場合には収入印紙を貼る必要はありません。ただし電子定款は、行政書士か司法書士でないとできません。

会社の役員

会社の代表者は、株式会社であれば代表取締役ですが、それ以外の会社は代表社員となります。役員の任期は、株式会社であれば取締役は2年、監査役は4年、定款の定めにより取締役、監査役の任期は10年まで延長することができます。その他の会社は、特に任期の定めがありません。

人気の高い会社形態

この様々な会社形態の中で、合同会社は、毎年設立件数が増加しています。有限責任でありながら、定款認証の必要がなく、1人でも設立できるなど、比較的容易に設立できるためです。会社設立といっても、種類ややり方は様々です。そのためにも情報収集をしっかりして自分のビジネスマインドを確立していきましょう。

決算報告書とは

会社の決算にあたり、毎期に決算報告書を作成し、株式会社であれば株主総会、その他の会社であれば社員総会の承認を受ける必要があります。株式会社の決算報告書は、貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、株主資本変動計算書、個別注記表で構成されています。株式会社以外のその他の会社形態であれば、貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、社員資本等変動計算書、個別注記表が決算報告書の構成になります。

会社の申告期限と納税期限

さて、改めて企業ておしての確定申告についてお話しましょう。

まず、個人事業であれば、所得金額をまとめる期間は1月1日から12月31日まで、確定申告書の提出は、翌年の2月16日から3月15日までです。しかし、会社の場合、計算期間は自由に決めることができます。つまり、決算時期を6月30日にしようが、3月31日にしようが、業務上都合のよい日を決められるということです。

したがって、決算日が3月31日であれば4月1日から翌年3月31日までの1年間を1事業年度として、決算報告書をまとめることになります。所得金額に対してかかる税金は、会社の場合ですと法人税や事業税があります。

また、算出された法人税額を基礎に算定される税金として、地方法人税と法人県市民税があります。前者は国税ですが、後者は文字通り地方税です。さらに、算出された事業税を基礎に算出される税金として、地方法人特別税があり、これは地方税に属します。これらの申告時期は決算日から2か月以内とされています。したがって、決算日が3月31日であれば、それらの法人税等の申告期限は、5月31日までということです。

最終回は手続きとその詳細

 今は個人事業主という働き方をとっている方でも、今後会社設立を考えている方もいるのではないでしょうか?手続きが複雑で、設立するまでの準備もしっかりと行う必要があるので、ご自身で理解をしておくことはもちろんですが専門家に相談されることもおすすめです。
 4回目を迎えた確定申告の解説も残り1回となりました。次回のテーマも引き続き「個人事業から会社を設立した場合に必要な手続き」です。今回と関連する部分もあるので、枠組みを押さえてから進んでもらえるとより理解が深まるでしょう。次回もお楽しみに。

この記事を書いた人

税理士 木村一夫

昭和26年6月東京都中野区生まれ。筑波大学大学院博士前期課程修了、東京国税局に採用。資産税・法人税の調査に従事。平成元年12月に税理士試験に合格し、税理士としての活動を開始。「法人税・消費税修正申告の実務」(ぎょうせい)「組織再編成の税務・会計・法律」(中央経済社)など数多くの著書を出版。

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