プログラミング教育必修化はエンジニアを働きやすくする?!教育現場の実態を聞いてみた。

数年前から子ども向けのプログラミング教室やレッスンイベントが増えはじめ、”プログラミング教育”というワードをよく耳にするようになりました。また、今年4月文部科学省が小学校におけるプログラミング教育必修化の検討を発表したことで、さらに注目を集めています。

しかし、実際にいまプログラミングを仕事としているエンジニアにとって、実は馴染みの薄いものなのではないでしょうか。今回はその実態に迫るべく、プログラミング教育推進の活動を行う「みんなのコード」代表利根川氏と、その活動に参加するマネーフォワードのエンジニア加藤氏にお話をお伺いしました。

みんなのコードとは

『公教育でのプログラミング必修化の推進』をビジョンに多岐にわたる活動を行う一般社団法人。2015年7月の設立以降、有識者会議での政策提案や学校支援、プログラミング教育の普及啓蒙活動など幅広く活動している。なかでも、Code.orgが世界的に主唱するプログラミング教育活動「Hour of Code(アワーオブコード)」において日本国内認定パートナーとなり、大規模なイベントを実施し、メディアの注目も集める。

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▲Hour of Codeは全世界で開催され、過去にはオバマ大統領も参加。応援声明が公開されたことが話題になりました。

まずは、みんなのコード代表利根川氏にプログラミング教育の概要をお話していただきました。

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全国1万人のこどもがプログラミング体験。多くのメディアが取り上げる。

―改めて「みんなのコード」が行う活動内容について教えてください。

みんなのコードの活動には大きく3つあります。まずは政策提言。霞ヶ関や永田町へ行って、プログラミング教育における提言をおこなうわけです。次に学校支援があります。プログラミング教育を推進するにあたって、その現場である学校ではまだ体制が整っていません。そこで私達が出張授業や先生方へ教育支援という形で導入のサポートをします。最後に普及啓蒙活動。今年の5月には「Hour of Code Japan こどもの日1万人プログラミング」と題し、全国110箇所で同時に子ども向けのプログラミングイベントを実施しました。沢山のエンジニアの方がボランティアでチューターとして参加してくださいましたよ。

ー「みんなのコード」は、なぜプログラミング教育の推進をおこなっているのですか。

私たちが目指しているのは、「みんなのコード」の名前の通り、すべての人がプログラミングに触れられる世界です。そのために、義務教育中でのプログラミング教育が必要だと思っています。日本だとまだ認識が薄いですが、グローバルな目線だとプログラミングは必須スキル。より多くの人間がコンピュータをうまく触れるということは国の競争力を高めることに繋がります。

また純粋に楽しいから、広めたいと思っているんです。自分自身がエンジニアとして、自分の作ったのものが動く楽しさや、多くの人に使ってもらえたり楽しんでもらえる嬉しさを感じているので。

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プログラミング教育が進むとエンジニアのキャリアに新しい選択肢が

ープログラミング教育が実施された先ににはどんなことが予測されるでしょうか。

未来を確実に予測することは出来ませんが、10年先の未来にエンジニアでなくても当たり前に皆が「アプリを作るとはこういうことだ」というようにシステムの裏側の理解が分かるようになることが理想です。これは『総人口プログラマーを目指す』という話ではありません。広くプログラミングへの理解が深まればエンジニアも仕事がしやすくなるのではないでしょうか。また、エンジニアのキャリアに”教師”という選択肢が生まれる可能性も十分にあります。ただ、もちろんそのためには、プログラミングスキルだけでなく”教育”や”子ども”に関する知識も必要とされます。

ープログラミング教育について今はどういった議論がなされているのでしょう。

現在は「プログラミング的思考を体験しましょう」という内容になっています。というのも、学習指導要項というものは、10年毎に全国統一で定められるものですので、あまりに具体的にしてしまうことを避けています。これからの実施ということで、今でもどのようにするのが良いのか有識者含め議論が行われていますが、おそらくビジュアルプログラミングを中心とした教育になるだろうと思います。

ー日本のプログラミング教育は他国と比べるとどうなんでしょうか。

エストニアやフィンランドでは既に必修化に向けて動き出しています。でも、どの国もまだ確立した方法を模索している段階だと思います。

プログラミング教育は「プライドを持って働くこと」から始められる。

ー最後にプログラミング教育推進において現役のエンジニアが応援できることはありますか?

「日々自分の仕事に誇りをもって生きる」ことですかね。
先日アメリカに行ったのですが、コンピューターサイエンスやプログラミング教育が取り沙汰される背景に「エンジニアは楽しそうだし、給料がいいし、かっこいい」というシンプルなイメージがあるんですよね。「現役のエンジニアがプライドもって働くこと」がいいイメージを作り、めぐりめぐって教育推進に繋がると思います。

具体的に私たちの活動に参加していただくこともできます。先ほども話したようにプログラミング教育をほどこすイベントがあり、これまで多くのエンジニアの方にチューターとして参加していただいています。ボランティアですが、「使命感」や「子どもが好き」という想いから参加くださる方が多いようです。12月には世界中でHour of Codeが実施され、そこではまたエンジニアの方のご協力が必要となるので、ご参加を検討していただければと思います。

ー貴重なお話を、ありがとうございました。

利根川氏から、プログラミング教育の今から未来についてお話をお伺いしました。プログラミング教育はそう遠くない未来、IT業界に従事する人々に大きな影響を与えそうです。続いては、みんなのコードにチューターとして参加するエンジニアであり、子どもをプログラミング体験に参加させている親でもあるマネーフォワードの加藤氏のお話を紹介します。

 

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参加後の子どもと自身の変化

 

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