「これからはHTML5でのゲーム開発を強化!」HTML5を選定したエディアの次なる挑戦。

ゲーム市場において頻繁になされる「ネイティブかブラウザか」という議論。ここ最近の風潮で言うとネイティブ優位といわれるかもしれません。しかし、Web技術の進歩などにより、その状況は変わりつつあります。

そんな中、今年春に東証マザーズへ上場し、多くのモバイルゲームを開発するコンテンツプロバイダ「株式会社エディア」は、今後ネイティブに加え、HTML5でのゲーム開発を強化すると宣言しています。さらに、このタイミングで、数多くのゲームタイトルの開発と人材育成・組織構築を成し遂げてきたヤフー株式会社の蛭田氏が同社に顧問としてジョインしました。

今回は、エディアの代表取締役 原尾氏と顧問 蛭田氏に、HTML5強化にいたった経緯と、今後の戦略について直撃しました。

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▲写真左から原尾氏、蛭田氏

■株式会社エディア  代表取締役 原尾 正紀 氏

大学卒業後、日産自動車株式会社へエンジニアとして入社。カーナビなど自動車内の通信に関わるソフトウェアの開発に携わる。1999年のi-modeの登場に衝撃と可能性を感じ、株式会社エディアを創業。 創業当初、カーナビサービスなどのi-mode向けのモバイルコンテンツをリリースしていたが、スマホの登場にあわせ、ゲームコンテンツ事業を開始。現在は、カーナビのようなライフサポートサービスとゲームコンテンツの二軸で事業を展開する。

■ヤフー株式会社 エグゼクティブプロデューサー 兼 株式会社エディア 顧問 蛭田健司氏

1997年現セガゲームス入社。2002年現コーエーテクモゲームス入社。オンラインゲームの技術責任者を経て、カナダスタジオに出向。ディレクター、プロデューサー等を兼任しつつ、現地責任者として経営を担う。2012年クルーズ入社。ネイティブゲーム事業の立ち上げを行う。2014年ヤフー入社。ゲームパブリッシング部部長ほか。2015年子会社に出向してCTOや人材開発室室長を務め、2016年ヤフー帰任。事業立ち上げ、人材開発、欧米ビジネスのスペシャリスト。

ブラウザの自由度の高さがクリエイティビティを支える

-今回 HTML5に注力することにした背景として、市場におけるHTML5の盛り上がりや優位性があるとのことですが、具体的にどういう点があげられるでしょうか。

蛭田氏:ブラウザはネイティブに比べて規約が厳密でなく、比較的に自由にコンテンツが出せる市場だといえます。この自由度がクリエイティブにとって非常に重要です。各プラットフォームごとに出来ること・出来ないことがあると一つのコンテンツが全体として持つ面白さを表現できない場合があります。優位性のひとつとして、こうした弊害を解消できることが挙げられます。

また、HTML5が動作する環境の性能が上がっていることもあげられるでしょう。ブラウザゲームがネイティブに移行してきた時代には、そもそもブラウザの性能が低いという課題がありましたが、現在ではWebGLによってWebブラウザでの3D表現が可能になり、グラフィックの技術においてはネイティブとの差を埋めてきています。いまだ劣る部分もありますが、技術的な課題が解決しつつある今が、他社に先んじてHTML5に取り掛かる良いチャンスなのではと考えています。

原尾氏:さらに、エンジニア目線でも作りやすいという点もあるかと思います。HTMLは他のアプリをつくるための言語に比べて、Webページを記述するための非常にわかりやすい言語です。そのため、世界的に見てもHTMLが使えるエンジニアはアプリエンジニアよりも数が多い。つまり、あらゆるコンテンツを作ることができるし、コストを抑えることが可能です。

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-反対に残されている課題についてお聞きしてもよろしいですか。

蛭田氏:まだ処理負荷が高い点ですね。3Dゲームを作るにもまだ本格的な次元には到達していないので。あとはブラウザが動く環境であればマルチデバイスで動きますが、やはり各デバイスによってUIを最適化する必要はあるので、その点は課題でしょうか。

原尾氏:ブラウザに依存するので、ブラウザが高度になっていくことが必須という点。ただ、今各社が力をいれて高度化しているので、解決するのも時間の問題かなとは思います。

「マルチデバイス・マルチプラットフォーム」「ゲームコンテンツと情報サービス」エディアの強みを実現する新技術が“HTML5”

-優位性・課題どちらも踏まえて、エディアがHTML5を選択した理由や戦略をお伺いさせてください。

原尾氏:まず当社の基本戦略に「マルチデバイス・マルチプラットフォーム」があります。これはガラケーやスマホだけでなくカーナビや携帯ゲーム機なども含めたモバイルデバイスを対象としています。しかし、すべてのデバイス毎にアプリ・プログラムを作ることは時間的に難しい。HTML5はブラウザにアクセスできれば、どの端末であっても同じプログラムが動くというマルチデバイス・マルチプラットフォームを実現する技術のひとつとして注目しています。

次に、HTML5はサーバー側にプログラムが集約されているので、どんなところでも同じものが使えるメリットがあります。バージョンアップを行なう際もサーバー上のプログラムを直すだけで全て同時に書き換えてしまえるんですね。

あとは、当社が提供しているサービスにはゲームコンテンツに限らず、実用的な情報サービスがあるという点が関係します。 カーナビアプリ「MAPLUS+」や ラーメンコミュニケーションサイト「超らーめんアプリ」などの情報サービスを提供する上では、HTMLはとても適しています。HTMLでゲームもメディアも作れる環境は、当社にとっては大変効率的なのです。さらに、今後の戦略においても、この点は大きく優位性を発揮できるかと思っています。

蛭田氏:情報サービスをやっているからこそ、HTMLによってバージョンアップの際にストアの審査を通す時間が短縮できることも事業としては大きなメリットになります。情報は鮮度がなにより大事ですから。

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-さきほどお話していたHTML5に注力することで優位性を発揮できる戦略というのは?

原尾氏:これまでゲームと実用的なライフサポートサービスはそれぞれ別ジャンルとして捉え、開発チームも別でした。しかし、今後はそれらを融合した新しいジャンルが生み出すことが出来るのではと考えているんです。それを当社では“融合ジャンル”と呼んでいます。今流行している『Pokémon GO』はまさしくこのジャンルに属するかと。今後は、メディアとゲームの境界線がどんどんなくなって融合されていくと予想しているんです。

その上で、当社が他社と差別化できるポイントとして、HTML5の機能として位置情報をもっとも効果的に使えると自負しております。創業から10年は“位置情報ベンチャーのエディア”が枕詞だったくらいですから。カーナビサービスに萌え要素を融合させた「MAPLUS+」、天気予報と萌え要素を融合させた「萌えテレ」は、位置情報とエンターテインメント性を掛け合わせたもので、今後つくっていく融合ジャンルと同じ発想で生まれています。

当社はエンターテイメントの領域では「萌え系」ジャンルに強みがあります。萌え系ゲームと呼ばれるジャンルは、二次元のキャラクターが多いので、2Dを表現するという意味でもHTMLのほうが作りやすいのです。

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最新技術へのあくなき探究心。
ゲーム品質だけでなく効率化も図るために。

 

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