震災で見直されたITと最新対策技術

2011年3月11日、日本を襲った歴史的大規模地震「東日本大震災」。東日本全体で2万人以上の命を奪い、人々に大きな衝撃を与えた震災から今年で6年。被災地では今もなお復興作業が続いています。震災当時はさまざまなシステム被害からインフラ機能が停止するなど、被災地だけでなく関東にも甚大な被害が及びました。この震災により、ソーシャルネットワークをはじめIT分野では大きく見直しが図られ、これまでに震災向けの新たなIT技術や製品、サービスが多く誕生してきました。

今回は当時の状況とIT分野の変化を振り返りながら、新しく生まれたITサービスをご紹介します。また、東日本大震災のあと、実際に熊本地震でも活用されたIT事例を合わせてみていきましょう。

繋がらなかった携帯電話。ソーシャルメディアの活躍と問題点

■電話の代わりを担ったTwitter・Facebook

震災が発生した直後、家族や友人の安否確認をしようと、沢山の人が携帯電話を利用したことで電話回線はパンク状態に陥りました。それにより、通話できなくなる事態が各地で発生し不安な思いで過ごした方も多かったかと思います。

電話が通じず、通信手段を断たれた状況のなか活躍したのがソーシャルメディアです。中でもTwitterは一度の投稿で沢山の人に手軽に情報が発信できるという点で、連絡手段としても情報収集手段としても多くのユーザーに活用されました。

それでも、ネット回線が繋がりにくい被災地では、10回のうち1回や2回しかネットに繋がらないというような不安定な状況が続き、完全に復旧するまでは長い時間を要しました。

■ネット上が故の、信憑性の低さと情報時差

電話が復旧するまで通信手段として活用されていたソーシャルメディアですが、ネット上でのやり取り故の問題が発生したのも事実です。情報源が不確かな投稿や、匿名で書き込めるが故のデマ投稿は、ネットの便利さと紙一重にある“不明瞭さ”を露呈させました。

また、被災地の状況は転々と変わります。例えば「◯◯市で水が足りていない」といった情報も2.3日経ったら状況が変化し、今度は水とは別のものが必要になっている場合もあります。

そういった変化に敏感に対応できず、投稿が拡散されてしまうことにより、被災地へ必要な時に必要な支援物資が届かないといった事態が発生することも少なくありませんでした。

見直されたIT。新サービスの誕生

このような震災を経てIT関連の問題が明らかとなり見直しが図られたことで、新しいITサービスが数多く誕生しました。

■被害リアルタイム情報「TweetLine@災害」

スマートフォンのGPS機能とTwitterを連動した災害支援システム “TweetLine®@災害” は、地方自治体と連携して活用することで、被災者の生の声を位置情報付きで得ることが出来ます。

一般的に地域の災害対策は地方自治体が主体で進められます。このサービスを使えば、例えば被災者が「○○地区で土砂崩れが起きた」とツイートすると、一度地方自治体を通し「災害情報ニュースライン」という公式情報に反映、共有情報として提供されます。位置情報が付けられることと一度公共機関を通すことで、情報の不確かさといった問題は解消され、リアルタイムに正確な被害状況を把握することが出来ます。

参照:https://twpro.jp/saigai_tweet

■移動型通信システム「Project Loon」

Googleが開発しているProject Loonは、太陽電池やネット回線機器を搭載した気球を高度20kmの高さで回遊さることで、ネット環境のない地域でもインターネットを利用出来る移動型通信システムです。

もし、震災による土砂災害や車で行くことが出来ない地域で孤立してしまっている場合でも、この機能を用いることで、ネット環境を確保することが出来るというわけです。ひとつの気球で約40km、ユーザー数でいうと数百人分カバーすることが可能で、100日近く運用出来ます。現在はまだ開発中ですが、既にニュージーランドでは試作運営が行われています。実際に活用される日もそう遠くないでしょう。

参照:http://digtoknow.com/technology/google-project-loon-internet-access-everywhere-in-india/

■最新シミュレートシステム「次世代防災システム」

適切な被災情報を得たとしても、道路が寸断されていては救助活動も復興作業も行えません。NTTコムウェアが開発した「次世代防災システム」は寸断された道路や崩壊した橋の情報を入力することで、迂回路の選定や支援要員の適切な設定が出来ます。

このシステムの1番の特徴は、その作業の知識や経験のない人でも迂回路等を設定した際の結果をシミュレーションすることが可能だという点です。被災情報を得て安否確認することも大事ですが、震災が起こった際どのような動きを取るべきかをシミュレーションしておくことも重要です。

参照:http://musen.com/

その後実際に熊本震災で活用されたIT

熊本震災では、東日本大震災の時と比べ4倍近くもスマートフォンやタブレットの普及が進んだことで、より一層震災に関するIT活用は広まりました。

例えば、対災害SNS情報分析システム「DISAANA」は、リアルタイムな被害状況だけでなく、不足している支援物資や孤立している地域を地図上に示すことで視覚的にわかりやすく情報を入手することが可能となっています。また、Facebookでも初めて「震災時情報センター」を設置するなど、今後はさらにスマートフォンでも震災対策としてITサービスが展開していくと考えられるでしょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今後東日本大震災と同じような地震が起こることも、十分考えられます。防災ももちろん大切ですが、震災の被害を最小限に抑え、いかに迅速に復興作業を行えるかどうかの「減災」も大切です。

今回ご紹介したサービスは減災に十分役立つでしょう。ご自身でも日ごろから防災・減災を心がけてくださいね。今後も震災関連のIT技術の発展に要注目です。

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